ナディア・ブーランジェのこと
ナディア・プーランジェは1887年にパリに生まれ幼い頃からたぐいまれな音楽の才能を顕し、14歳でガブリエレ・フォーレの弟子となり16歳でフォーレの代理としてマドレーヌ寺院のオルガンを任されるほど絶大な信頼を寄せられる。
作曲家、演奏者、指揮者としてはもちろん何より音楽教育家として名高く、多くの名音楽家が彼女の元から生まれた。
ピアニストでいえば、ディヌ・リパッティをとても若い頃から育て上げた。お弟子さん以外にも影響を与えた音楽家も数知れず。ラヴェル、ストラヴィンスキーをはじめ枚挙にいとまがない。
20世紀初頭にJ.S.バッハのカンタータやモンテヴェルディのマドリガルを蘇らせる。
モナコ公国の教会音楽監督としてレーニエ三世とグレース・ケリーの結婚式も執り行ったという。
そんな彼女が指揮をしたフォーレのレクイエムがYouTubeで見つかりました。作曲家を知り尽くした解釈は一分の隙もなく、美しさ極まった上に心を打つ演奏に釘付けです。
ちなみに、この演奏のためにナディアをアメリカに招待したのがニューヨークフィルの常任指揮者だったレナード・バーンスタイン、もちろん彼女のお弟子さんの一人です。奇しくも演奏会前に亡くなった指揮者ブルーノ・ワルターを偲んでの追悼コンサートだったとか。
お弟子さんの中にはクラシック以外の分野で活躍した方も多く、マイケル・ジャクソンのプロデューサー、クインシー・ジョーンズもその一人だそうです。
妹の作曲家、リリ・ブーランジェは女性初のローマ大賞受賞者。
こんな音楽の知の巨人を知らなかった自分が恥ずかしいですが、日本語での彼女に関する本はほとんど最近まであまり出版がなかったのも事実のようです。