ベルカントオペラフェスティバル オペラ「貞節の勝利」 2019年11月15日 

ベルカントオペラフェスティバル

アレッサンドロ・スカルラッティ作曲

オペラ「貞節の勝利」 

2019年11月15日テアトロジーリオショウワ

 


アレッサンドロ・スカルラッティのオペラを全幕見たのは初めて!イタリア古典歌曲は大好きだけど、恥ずかしながらアリアしか知りませんでした。

結論、バロックオペラ、クセになりそう!!

カウンターテナーの声に刻印された狂気、才気煥発の指揮と演出による機能した舞台、どうぞご自由に、を正しく扱える芸術家が集まればこんな素敵な時間になるのか!と目からウロコが落ちました!

イタリア人カウンターテナーのラファエッレ・ペー氏の歌ったアリアCaldo Sangue(熱き血潮よ)は言葉の色、音楽の色がピアニッシモでも劇場中に響き渡り、夢のようなひと時でした。

日本人では小堀勇介さんと山内政幸さんのお二人が最高でした!山内さん、性別を超えるのはオペラの得意とするところですが、これはご本人もクセになった様子!

 


指揮者のアントーニオ・グレコ氏はスコアの情報から洗練された音楽を編み出すだけでなく、自らチェンバロも演奏しその音で舞台上の演劇にも参加、これがお洒落で上品!レチタティーヴォ・セッコ(チェンバロとチェロの通奏低音で伴奏する語り、お芝居の部分)大好きな私のツボにピッタリ!セッコの伴奏をこんな風に自由に素敵に弾けたらなぁ…

 


バロックオーケストラは、驚くほど甘美なスカルラッティを演奏してくださり、日本にいることを忘れるよう。いつまでも聞いていたかった。あまりに上手いので後でメンバーを見たらビックリ!日本を代表するソリスト級の古楽奏者が集まっていました。

とにかくチェンバロとの音合わせからうっとり。何Hzか正確にはわかりませんがほとんどソシャープに聴こえるラの音、心地よいのですよね〜

 


古楽オーケストラのアンサンブルは素晴らしく、それを全力でまとめる指揮者の力量も驚くべきものでした!

 


さらに、演出です!バロックオペラの演出がこんなに楽しいものになるなんて!時代設定やキャラクター設定もウィットに富んで飽きさせませんが、リトルネッロ(繰り返し)を大量に含むバロック音楽の冗長さを全く感じさせなくなるMimmi(ミンミ、無言の役者たち)の音楽的な振り付け!ソリストのアリアを全く邪魔することなく妖精のように舞台を彩る助演の皆さんの動きに感動しました!

 


演出は2名の演出家の合作なのですが、中でもリーベロ・ステッルーティ氏はプロフィールの1番最初に日本人演出家、井田邦明氏の演劇学校出身、と誇らしげにあるとおり、井田邦明さんの演劇の力学理論とでも言いましょうか、の教えを忠実に舞台上に再現していたと思います!どういう動きがどんな舞台効果を生み出すか、を知っていて、かつその塩梅が絶妙で、音楽を可視化してくれるのです。役者さんたちの動きは素晴らしい効果を生み出していました!

 

ベルカントオペラフェスティバルという一連のイベントの中でもメインの公演だっただけに新百合ヶ丘という場所で平日のお昼公演にもかかわらず満席に近いお客様で劇場内は熱気にあふれていました。

 

素晴らしい公演に立ち会うことができて本当に幸せなひとときでした!!