椿姫1幕 ヴィオレッタのアリアの疑問解決!

歌手の方と稽古していて、アリアの最初のレチタティーヴォの中にある

Saria per me sventura un serio amore?

 


という歌詞の最初の言葉のアクセントの話になった。

Saria はサリーアと読むのに、ヴェルディはサーリアという書き方をしていて、サとリアにそれぞれ八分音符が振り分けられている。

イタリア人の先生は普通にサーリアと読んでいたのでその通りに指導したら、でもリがアクセントですよね、と言われた。うん、その通り。

ではなぜヴェルディはアクセント通りに書かなかったのか?

 


エルマンノ先生の作詞法の本をひっくり返して、音節のくだりを開いたところ、その謎が明らかになった!

 


ヴィオレッタのアリアのレチタティーヴォは11音節で書かれている。

11音節のアクセントは、後ろから2番目の10音節におかれるが、長いので他にも6音節、または4、7音節にアクセントがおかれることがある。しかし、sariaのriは2音節目、アクセントはつけられない。

リブレットを見るとsari’a と記号がついている。(楽譜にはない)

この詩行のアクセントはsventuraのtu(6音節め)とamoreのo (10音節め)であって、サリーアと歌ってアクセントをつけるのは作詞法に反するのですね。ただ、わざわざ記号をつけて単語のアクセントの位置ではあることを示しているのです。

ヴェルディもそれを知っているからわざと同じ音価をつけてアクセントにしなかった。

 


なんということでしょう!そこまでわかっていないと説明できないことだっとは。。そして作曲家の知識の深さ!恐れ入りました!